「子どもたちの笑顔をみることができる」「教育を通じて社会貢献ができる」
「子どもの成長を感じることができる」など大きなやりがいを感じることができる教員という仕事。
一方で「労働時間が長すぎる」「プライベートの確保が難しい」など大変なことも多いのが教員の現実。
やりがいを感じつつも、自分自身の生き方や将来について考えていく中で転職を考えているという方も多いのではないでしょうか。
かくいう私も悩み抜いた末、小学校教員から民間企業に転職をしています。
本記事は以下のような悩みをお持ちの方にぜひ読んでいただきたい記事です。
「そもそも教員から転職なんてできるの?」
「転職先ってどんなところがあるのかな。」
「教員から民間企業に転職した人の話を聞きたい!」
教員から民間企業に転職は可能
結論からいうと、教員から民間企業への転職は可能です。
私自身も転職に成功しています。また、教育学部のある大学を卒業していますが、同じ年の友人も数名、民間企業への転職を決めています。先輩の中にも多くいらっしゃいます。
転職を考える教員は増えている!?
総務省が発表した令和4年度地方公務員の退職状況等調査をみてみると、教員の離職率は約1%を下回っており、一般の企業に比べれば低い数値となっています。
一方で「”新規採用教員の1年以内の離職率が増加傾向”」にあることが示されています。 (東京都教育委員会『令和6年2月1日発表資料』)
教員全体の離職率は他業種に比べて低いものの、若手の教員の離職率は上がっていると言えるでしょう。
つまり教員の転職というのは決して珍しいことではなくなってきています。
転職可能といえる理由4つ
1.人材不足の昨今
今、ニュースや新聞でも取り上げられているように、企業は深刻な人材不足に陥っています。
2024年10月時点における全業種の従業員の過不足状況について、正社員が「不足」と感じている企業の割合は51.7%だった。前年同月比では2カ月連続で低下したものの下げ幅は小さく、依然として5割を上回るなど、高止まりが続いている。
2024年の「人手不足倒産」は10月時点で287件にのぼり、過去最多だった2023年の通年(260件)を既に上回り、2年連続の過去最多を記録した。
引用元:帝国バンクの令和6年10月発表資料
また、実際に私が転職エージェントを利用した際には
「今は転職市場が売り手市場になっている。」
「正直、ひと昔前だと教員からの転職は厳しいと感じていたが今はそんなことない。」
「応募条件をみていると、未経験者歓迎の応募がかなり増えているのでチャンスは大きい。」
とアドバイスをいただくことができました。
このような人材不足の状況が追い風となり、教員から民間企業への転職は以前にも増して現実的な選択肢となっています。また、転職市場が活発なうちに行動すれば、より理想に近い転職先を見つけやすくなります。
2.転職に関する情報を得やすい
転職に関する情報を得やすいということも転職が可能になることの一つの要因と言えます。
教員という仕事は、特性上、他の職業に比べて閉鎖的な空間になりやすい傾向があります。
もちろん、良い面も多くありますが、「学校と職場の行き来が中心で、コミュニケーションは教員同士のみになっている」という方も少なくはないのではないでしょうか。
しかし、現代はインターネットで検索すれば多くの情報が見つけることができます。
以下のような方法で情報を取得することで、転職活動のイメージがグッとつきやすくなりますし、
今の転職市場の動向をいち早く掴むことができます!
インスタグラムやXなどで「#教員転職」「#脱教員」など検索すれば、たくさんの投稿をみることができますし、YouTubeでも「教員からの転職」などの動画を数多く視聴することができる環境にあります。
転職支援サービスが充実しその利用も一般的になってきました。
教育業界に特化した転職サービスも現れています。
履歴書・職務経歴書の添削、模擬面接などのサポートもとても充実しており、安心して転職活動を始めることができます。
無料のキャリア相談やセミナーなども数多く実施されています。
転職イベントを定期的に開催している大手企業も存在しています。
就職ガイダンスや転職者向けの合同企業説明会を開催している都道府県や市区町村もあります。
もちろん情報の信憑性を自分で検討したり、怪しいセミナーではないか慎重に調べる必要はあります。しかし、能動的に動くだけでかなりの情報を得ることができるので、本格的に転職活動を始めやすくなるでしょう。
3.スキルを身につけやすい環境がある
「教員という職業を通して、身につけてきたスキルが民間企業で通用するのだろうか。」
そんな不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
転職活動を始めた当時、私も不安に思っていました。
そういった悩みをお持ちの方であれば、新しいスキルの習得を目指すことも選択肢の一つです。
大手の通信講座であれば、多種多様な資格講座が用意されています。
本屋に足を運べば、多くの資格取得の参考書が販売されいます。
自分の興味のあるジャンルのものもあるでしょう。
MOSやITパスポート、FP2級などは近年注目されていますよね。
「資格」という形に縛られず広い視野で考えると、もっと多くのスキル取得の機会があります。
例えば、動画編集やSNS運用、プログラミングについて学んでみるのもいいでしょう。
ブログやYouTube、InstagramといったSNSを活用しながら学習を進めることもできます。
転職してからではありますが、私も自信につながる何かがほしいと感じ、資格勉強を始めました。
参考書と動画を活用して学習を進めることで、宅地建物取引士の資格を取得することができました。
合格した喜びはもちろんですが、自分の自信につながったという側面が大きいです。
教員という仕事は激務ですので、なかなか時間の確保が難しいと思います。
しかし、スキル面でどうしても不安になってしまうという方は、挑戦してみると新たな気づきがあるかもしれません。
4.汎用的なスキルは既に身に付いている
3つ目では、新しいスキル取得の話をしてきましたが、正直なところ焦る必要はないと思います。
なぜなら、これまで教員で身に付けたスキルは、十分転職活動の中でアピール可能だからです。
「スキル」というと、どうしても「資格」や「技術」のことをイメージしてしまいがちですが、
現在、転職市場では以下のようなスキルが重要視されています。
・ポータブルスキル 「どの職業においても汎用的に活用できるスキルのこと」
・テクニカルスキル 「特定の職種や役職で活かせる専門的なスキルのこと」
・マネジメントスキル 「リーダーや管理職などに求められるスキルのこと」
この中でも、注目すべきは①ポータブルスキルです。
もうすこし詳しく見てみます。(※スキルの考え方や表現は様々存在するのでぜひ調べてみてください。)
①コミュニケーションスキル
②チームワークと協力
③問題解決能力
④自己管理能力
⑤リーダーシップ
⑥学習意欲
⑦柔軟性
⑧デジタルリテラシー
すべらない転職『転職で有利なスキルは?年代・職種・業界別に一覧で紹介』https://axxis.co.jp/magazine/56077より
どうでしょうか。どれも教員に必要不可欠なスキルだと思いませんか。
日々、これらのスキルを活用しながら学級経営をしたり、授業を考えたりしていますよね。
つまり、これまで教員で身に付けたスキルは、十分転職活動の中でアピール可能なのです。
面接の際に、事例を織り交ぜながら話すことで、自分の持っているスキルをしっかりアピールできます。
教員からの転職しやすい業界・業種
それではここからは実際に転職した私が考えるおすすめの業界・業種についてお話します。
今までのスキルが活用しやすい業界
①教育関連業界
- 学習塾の講師
- 習い事の講師(英語教室、体操教室、ピアノなどの音楽教室など)
- 教材の販売や編集
- 学校におけるIT活用講師
- 子供向けのイベントなどを企画する企画会社 など
- 教員時代の指導力や身につけてきたノウハウを活用しやすい
- 教員ならではの視点で活躍しやすい
- 比較的転職しやすい(採用側もイメージがもちやすいため)
- 新しいことに挑戦したという実感が持ちにくい可能性がある
- 教育業界からは抜け出しにくくなる可能性がある
②福祉・介護関連業界
- 放課後児童クラブ
- 発達支援教室
- 高齢者向けの介護施設
- 支援員・相談員
- 教員時代に培った「人との接し方」が強みになりやすい
- 「人のために働いている」という実感を感じやすい
- ニーズが高まっている
- 職種によっては変形勤務や夜勤の可能性がある
- 業務負担が大きくなりやすい
③営業職
- 法人営業
- ルート営業
- 対人スキルを活用しやすい(児童・生徒対応や保護者対応の経験)
- 求人数が比較的多め
- 歩合制が多いので、お給料を上げやすい
- 業種によってはノルマがきつい場合も
- 同じ人に会うというより、違う人に会うことが多い(教員時代とのギャップ)
新しいスキルを身につけやすい業界
①IT・WEB業界
- プログラミング
- WEBライター
- WEBデザイナー
- IT事務
- 情報が多いので、イメージがもちやすい
- スキルを身につければ、キャリアアップしやすい
- 在宅でできる仕事が多い
- 注目されている業界なので、スキルを学ぶ環境が手に入りやすい
- 専門知識やスキルの獲得が大変(時間や気力が必要)
- 在宅の場合、人と会う機会が減りやすい可能性がある(教員時代と比べて)
②美容・ブライダル業界
- ウエディングプランナー
- ドレスコーディネーター
- エスティシャン
- 「人の笑顔」に触れることができる(教員との親和性)
- 比較的求人数が多い
- 教員で身につけた対人スキルやカウンセリング力が活用しやすい
- 専門知識を身に付ける必要がある
- 休日が平日になることが多い
- ハードワークになりがち
転職に向けて今すぐできること
情報収集をはじめよう
まずは初めの一歩として、情報収集を始めましょう。
WEBやX、インスタグラムなど転職関連の投稿に目を通すだけでもかまいません。
可能であれば、転職サイトに登録し、求人票を眺めてみましょう。
漠然と考えているだけでは、転職活動をスタートすることはできません。
おすすめは、転職サイトに登録したら早い段階で担当アドバイザーとの面談を行うことです。
自分の思いを話すことで、担当アドバイザーが今の状況や考えを客観的に整理してくれます。
そのため、自分では気づけなかったや考え方を知ることができます。
また、担当アドバイザーがサポートしてくれるため、スムーズに本格的な転職活動を始めやすいでしょう。
自己分析をしよう
情報収集を始めたら、併せて自己分析をスタートするのがおすすめ。
インターネットで紹介されているような難しい自己分析を、いきなり始めるのはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。そんな方は
「どんなことに興味があるんだっけ?」
「この業界なら新しくチャレンジできそうかも」
「絶対譲れない条件ってなんだろう?」
など、自分で思いつく簡単なことから考えていく自己分析がおすすめ。
適職診断などもたくさんありますので、やってみるのもいいですね。
私も、「自己分析なんて大変そう」と思ってしまうタイプでした。
そのため、簡単なものからスタートし、本格的な自己分析に移っていくという流れで行いました。
まとめ:教員から民間企業に転職するチャンスは十分ある!!
結論、教員から民間企業に転職は可能です。
もちろん、今の仕事を手放すということは相当の勇気のいる決断ですし、誰しも怖いのは当然です。
転職した方は少なからず、この恐怖を感じていると思います。事実、私もそうでした。
でも、こんな私でも転職をすることができました。
「自信がない」「自分に転職はきっと無理」と思っている方も大丈夫です。
情報収集を始めることも、立派な第一歩。
少し動き出すことで道が見えてきます。
勇気をだして踏み出してみましょう。
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