転職活動を始めてすぐに、ぶちあたる壁といえば、自己PRを考えること。
新卒の転職活動や民間企業から民間企業への転職活動で、自己PRの内容を考えるのも一苦労のはず。
ましてや、教員から民間企業への転職となると何を書けば良いのか悩み、なかなか手が進まないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、教員からの転職活動における面接でも活かせる自己PR作成のコツについて解説していきたいと思います。
この記事で解決できる悩みは以下のようなものです。
- 自己PRって何
- 自己PRの書き方や伝え方が分からない
- 「強み」ってどんなものがある??
- 具体的な作り方のポイントが知りたい
- 実際の文章をみてみたい
この記事を書いている私は、小学校教員として5年間勤務→未経験の民間企業へ転職をしています。
自己PRとは
そもそも自己PRって何??
転職活動における自己PRは、自分のもっている力を相手先の企業にアピールする最も大切な部分になります。
「企業の求めている人材」と「自分のもっているスキル」が、マッチングしていることを最大限に伝えることが採用率を高めることにつながります。
「強み・スキル」と「長所」は違う!?
「強み・スキル」と「長所」どちらもとても似たニュアンスの言葉ですよね。
そのため、何を書いたらいいのか分からなくなってしまったという方もいるのではないでしょうか。
しかし、転職活動においてはこの二つの言葉の示す意味を理解した上で、面接に挑む必要があります。
なぜなら、「強み」について問われるときと「長所」について問われるときで、企業の質問の意図が異なっているからです。
意味 | 企業側の意図 | |
---|---|---|
強み・スキル | 業務の中で活かせるスキル 業務で身につけたスキルや資格等 | 求めている人材とマッチしているかどうかを知るため |
長所 | 自分のもともともっている能力や性格 | 人柄を知るため、自身の良さや足りない部分を 客観的に捉えられているかどうかを知るため 既存の社員と合う人柄かどうか知るため |
このような違いを意識しながら、書き方や答え方を考えていくとそれぞれ考えやすくなっていきます。
「強み・スキル」「長所」にはどんなものがある?
「強み」「長所」それぞれ具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
一部にはなりますが、一覧にしてみました。
強み・スキル
- 主体性
- 行動力
- 発想力
- 計画力
- リサーチ力
- 柔軟性
- 協調性
- 受容力
- リーダーシップ
- 交渉力
- 決断力
- 忍耐力
- タイムマネジメント力
- メンタルコントロール力
- 自己管理能力
長所
- 好奇心が旺盛である
- 努力家である
- 慎重派である
- 真面目である
- 堅実である
- 困っている人を放っておけない
- 人の意見をよく受け止める
- 芯がある
- 忍耐力がある
- 責任感がある
- 臨機応変に動ける
- 向上心が強い
- 感情が豊かである
この他にも数多くの「強み・スキル」「長所」があります。
『強み 一覧』『長所 一覧』で検索するとさまざまな表を見ることができますので、自分にはどのようなものがあるか考えてみましょう。
自己PRの具体的な作り方
それでは、ここからは具体的な自己PRの作り方の解説をしていきます。
基本構成
自己PRの構成の基本は、以下のようにするのが望ましいです。
①結論(自身の強みや長所を簡潔に表現)
②具体例(①で述べたことを裏付ける具体的なエピソードを簡潔に表現)
③展望(その強みや長所を生かしてどのように貢献していきたいか)
このように、結論を先行させることで、「何について話そうとしているのか」を聴く側が意識しやすくなり、聴くポイントを落とさずに聞いてもらうことができます。
STEP1 応募する会社や業種で求められている「強み・スキル」を洗い出す
まずは応募する会社や業種で求められているスキルを洗い出すのがおすすめ。
①「強み・スキル」の一覧から応募する会社や業種で求められている「強み・スキル」を洗い出します。
「強み・スキル」の一覧インターネットなどから手に入れましょう。
エージェントサイトの中に、リンクが貼られていることもあります。
一覧の中から応募する会社や業種で求められている「強み・スキル」を考え、
丸をつけてみましょう。
なるべくたくさん丸をしてください。
STEP2 自分の持っているスキルを抽出する
②現在、自分が持っていると考えられるスキルに★をつけていきます。
ポイントは、STEP1と同様にたくさん丸をつけること。
初めから「ない」と決めつけてしまうと、後々思いつくものが余計に減ってしまうので、
少し優しめで自分を評価し、★をつけてみてください。
STEP3 実際のエピソードを考えていく
③STEP1,STEP2の中で重なった「強み・スキル」を確認しましょう。
印が重なっているということは、企業や業界の求めている「強み・スキル」と自分のもっている「強み・スキル」がマッチングしている重要な部分であるということです。
つまり、この点をしっかりと面接や自己PRでアピールしていくことが大切です。
④重なった「強み・スキル」を裏付けるエピソードを書き出していきましょう。
ここでは「課題解決力」という観点で考えていきます。
該当しそうなエピソードについてとりあえず思いつくまま書いていきます。
「課題解決力」
学級経営を通して培ってきた力。昨年度5年生をもった。進級当時は、自分のことが第一優先でクラスメートのことを気にかける児童は少なく、クラスの雰囲気も温かなものではなかった。
特に、誰かが発言しているときにその子の声に耳を傾ける児童が少ないことが気になった。
そこで、クラスの雰囲気を変える必要があると考えた。具体的には、話を聞くことの重要性について語ることはもちろんのこと、話を聞いてもらえて嬉しいという体験をしてもらうために、ペアトークの時間を増やしたり、〜さんの意見をもう一度言える人?などと問い、聞く習慣を養ったり、よく聞かないと楽しめないミニゲームを定期的に実施するなど工夫を行った。その他アサーションの授業を行うなどした。
その結果、4ヶ月ほどした頃には、クラスメートの発言をしっかりと聞き、発言をつなげ、みんなが安心して発言できる雰囲気のクラスを醸成することができた。
STEP4 エピソードを簡潔に分かりやすくまとめていく
⑤STEP5で思いつくまま書き出したエピソードを整理していきます。
【どういう課題があったのか】
→進級直後は、自分のことを中心に考える児童が多く、チームとして協力できる雰囲気の醸成ができていなかったことが課題だった。
【どのように考え、どのような手立てを打ったのか】
→雰囲気が醸成されていない原因の一つとして、聞くことの重要性を実感として感じていないことが存在すると考えた。そこで対話を中心とした授業展開への転換、アサーションの授業を考案し実施するなど、自身の学級の実態に合わせた手立てを行った。
【その結果】
手立てを行った後、学級の雰囲気は改善し、チームとして協力できる学級を醸成することができた。
【その経験をどう活かすことができるのか】
このスキルを活かし、営業活動における課題を常に分析、改善することで御社の売上に貢献していきたいと思っている。
STEP5 今までの内容をまとめる
わたしの強みは「課題解決力」です。
教員時代もっていたある学年は、進級してきた直後は自分のことを中心に考える児童が多く、チームとして協力できる雰囲気の醸成ができていなかったことが課題でした。
雰囲気が醸成されていない原因の一つとして、聞くことの重要性を実感として感じていないことが存在すると考えました。そこで対話を中心とした授業展開への転換、アサーションの授業を考案し実施するなど、自身の学級の実態に合わせた手立てを行いました。
その結果、学級の雰囲気は改善し、チームとして協力できる学級を醸成することができた。
このスキルを活かし、営業活動における課題を常に分析、改善することで御社の売上に貢献していきたいと思っています。
自分のエピソードから洗い出す方が一般的なようですが、教員の仕事は個別性が高いため
「エピソード」から「強み・スキル」という形で一般化していくのが難しいと思います。
私自身も初めは「エピソード」から「強み・スキル」という形で一般化しようとしましたが、うまく言葉になりませんでした。
そこで、アプローチを変え、先に「自分の持っている強みやスキル」を洗い出し、その後にそれを裏付けるエピソードを探す方法を試しました。
この方法では、自分の経験をより客観的に整理でき、採用担当者にも伝わりやすい形で強みを表現できるようになりました。
教員経験を活かした自己PRを考える際には、自分に合った整理の仕方を見つけることも大切です。
自己PRを考えるときのポイント4選
興味をもってもらっているということ忘れない
教員からの転職となるとどうしても「民間企業では即戦力にはならないのではないか」「誇りをもって教員をしてきたが、民間企業ではプラスに捉えてもらえないのではないか」といった思いをもってしまうのではないでしょうか。
実際、私もまったくの未経験の業種へのチャレンジだったため、上記のように考えてしまいモチベーションが下がってしまうことも度々でした。
しかし、「書類選考が通った=自分の経歴に興味をもっている」ということです。
選考担当者は、あなたのこれまでの経験や強みが自社で生かせる可能性があると考えているからこそ、次のステップへ進めています。
その事実を前向きに捉え、自信をもって選考に臨みましょう。
相手は教員ではないということを自覚する
当たり前のことですが、選考担当者は基本的に教員経験がありません。
稀に経験者がいることもありますが、ほとんどの場合は異なる業界の方です。
教員という仕事は、他業界の人にとってイメージしづらい職業の一つです。
そのため、教員時代のエピソードを話す際には、どうしても専門的な表現になりがちですが、相手に伝わるよう工夫が必要です。
「具体的だが、具体的すぎない」ことを意識し、教員経験のない人でも理解しやすい言葉で表現しましょう。
志望する業種を意識してアピールの仕方を工夫する
自己PRの内容や伝え方を工夫することが大切です。
例えば、「生徒の学習理解度を高める工夫をしていた」という経験も、教育業界なら「指導力」や「生徒対応力」として評価されますが、営業職では「相手のニーズを把握し、最適な提案をする力」としてアピールできるでしょう。
私が転職活動をする中で特に感じたのは、「数字を意識することの重要性」です。
介護や看護といった人の幸福度を重視する業界であれば話は別ですが、多くの民間企業は売上や契約数、顧客満足度など数字を基準に成果を測るのが一般的です。
教員という仕事はその特性上、売上や契約数などのような「数字を追う」意識をもつことが少ないといえます。
そのため、「数字を意識できること」を自己PRの中で意識して伝えていく必要があります。
例えば、授業の理解度向上のためにアンケートを取り、数値データをもとに指導方法を改善した経験があれば、それは「データ分析力」としてアピールできます。
このように、応募する業界が重視するポイントに沿って経験を言い換えることで、より説得力のある自己PRができます。
逆質問も想定しておく
逆質問もしっかりと準備しておきましょう。
逆質問も先ほどのポイントと同じように、相手側に企業や業界への意欲を伝える格好のチャンスです。
質問の内容としては、自分がその業務についた時のことを想定し、なるべく具体的に想定しておきましょう。
まとめ
自己PRは、単に「自分の良いところを伝える場」ではなく、「企業が求めるスキルや強みを、具体的な経験をもとに示す場」です。
教員からの転職を目指す場合、自分の経験をどのように民間企業で活かせるかを明確に伝えることが重要です。そのために、以下のポイントを押さえて自己PRを作成しましょう。
- 「強み・スキル」と「長所」の違いを理解する
→ 企業が求めるのは、仕事で活かせるスキルや能力。性格的な長所だけでなく、業務に直結する強みを伝えることが大切。 - 基本構成(結論 → 具体例 → 展望)を意識する
→ 端的に伝えることで、採用担当者が理解しやすくなる。
- 書類選考が通った時点で、自分に興味を持たれていることを忘れない
→ 自信を持って、自分の強みをしっかり伝えよう。 - 教員時代のエピソードは、民間企業の視点で伝える
→ 採用担当者は教員経験がないことが多いため、「具体的だが具体的すぎない」表現を心がける。
- 志望する業種を意識してアピールの仕方を工夫する
→応募する業界が重視するポイントに沿って経験を言い換えることで、説得力が増
- 逆質問もしっかりと想定しておく
→より志望度を伝えることができる
自己PRをしっかり準備することで、転職活動を有利に進めることができます。教員として培ったスキルを活かし、次のステージへ進むために、ぜひ今回のポイントを参考にしてください。
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